【9回】1997夏県大会決勝(鹿児島実vs鹿児島玉龍)

【9回】1997夏県大会決勝(鹿児島実vs鹿児島玉龍)

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9回表(鹿児島実)

鹿児島玉龍高校が後半に得点を積み重ね、11-8と三点差に広げています。

最後はショートのエラーを誘いまして、更に一転追加。

さあ、残るは9回、鹿児島実業の攻撃。3点差です。

松田「今の2点ですね、8回裏の玉龍の2点、これは非常に追加点として効きましたよね。大きいですよね。これに対して鹿児島実業、最終回の打線ですが、2番からですからね、まだ三点差ですから取り返しつくんじゃないですかね、頑張ってほしいですね。」

 

打順は2番から、二番の和田からです。

この和田は二打数一安打、この一安打はタイムリーヒット。

応援送ります鹿児島実業の応援席。総立ち。

さあ9回の表、鹿児島実業の攻撃です。

バッターは和田です。

マウンドは小島、二人目のピッチャー。

初球はカーブ、インコースから決まった。ワンナッシング。

さあ鹿児島実業としますと、この和田を出すことがポイントになりますよね。

 

松田「そうですよね、先頭打者ですね」

 

変化球これも決まっています。ツーナッシング追い込みました。

しかし、小島ですね、コントロール良くなりましたよね。

 

松田「この小島君非常にコントロールが良く投げてますよね」

一球外します。バッターは和田。

直球バット止めたがボール。三塁塁審は横に手を広げました。スイングは取られません。

さあツーツー。際どい所でしたよね

 

松田「リリーフの小島君、非常に丁寧に投げていますよね」

 

カーブインコース、詰まっています。

 

ファーストゴロ、ファースト体で弾いています、ファーストに送球、これも逸れました。しかし進塁しません。

2番和田龍一郎 ファーストエラー(無死一塁)

ファーストのエラーが記録。さあその先頭バッターが出ました。相手のエラーを誘って和田がファースト。

 

松田「先ほどもこの一塁手の木村君、今みたいなミスしましたけどね、そこはバックアップの小島君がベースカバーしましたよね」

さあ、今、打ちましたエラーを誘いました和田に代わりまして、ファーストランナー代走の田上

一塁代走:田上祥太郎

そしてバッターは本村。

打ちました、左中間の当たり、

ファーストランナーセカンドを回って、三塁へ。ボールは今セカンドに返ってきて、高い球逸れました。

 

それを見て、サードランナーホームイン、一点返しまして得点は11-9、二点差

3番本村敏幸 センター二塁打・送球エラー 9-11(無死三塁)

(センター川田が捕球し二塁へ送球。)

(二塁への送球が大きく逸れ、一塁ベンチ前へ)

(一塁からランナーが生還し9-11)

ランナーは三塁です。

代走で出ました背番号16、田上がホームイン。

今のシーンですが、一瞬戸惑いましたよね、しかし良く見ていましたよね。

 

松田「そうですね、センターの川田君が誰もいないとこに投げてしまったんですよね」

 

代走の田上がホームインしまして、なおもランナー三塁。

そしてバッターは馬場口。

さあバッター馬場口、四番バッター。第一打席はセンターフライ。

高めボール。

 

松田「この馬場口君も一発持ってますからね」

 

本来ですと(スタメンの)四番ですからね。さあ二点差、この回一点返しています鹿児島実業、ランナーは三塁。

一回間合いを取ります。

バット止めてストライク。アウトコースにキレの良い球が入ってきました。

カーブ、インコース引っ張ったファウル。

さあツーツー。9回の表に鹿児島実業が一点を返して、11-9、ランナーは三塁、そしてバッターは馬場口。4番バッター。

 

直球見逃し三振、ワンナウト。

4番馬場口達也 見逃し三振(一死三塁)

アウトコース際どい所にストレートが決まって、見逃しの三振。

 

松田「アウトコースいっぱいいっぱいでしたね。良いコース来ましたよね」

 

そしてバッターは今日4打数3安打、当たっている貞。

まずカーブ外れてワンボールナッシング。

9回の表鹿児島実業が追いつくチャンス。ランナーは三塁。二点差。

キャッチャーがボールをショートバウンドしました三塁ランナーが一瞬前進しかかりました。

 

松田「玉龍とすればですね、三塁のランナーは構わずにバッターを勝負したほうがいいんですよね。後の打者を塁に出さないということですね」

 

二人目の小島、そしてバッターは貞。それを見守る鹿実ナイン。

ボール。やはりこういうところになると肩にピッチャー力が入ったりするんですよね。

 

松田「そうですよね、小島君とすれば、投げ急がないということですね、勝負を早め早めにせず、自分のペースで投げるということですね」

 

ボール、フォアボール。同点のランナーがファーストです。

5番貞優樹 四球(一死一三塁)

一塁代走:内倉大作

ここでタイム、ここでランナーは三塁と一塁。さあタイムを取ってキャッチャーがマウンドに向かいます。

伝令1番、船川が伝令としてマウンドに向かいます。

 

松田「ここはタイム取っていいですよ、最終回ですし二点差ですよね。」

さあバッターは新屋。

ファーストのランナーが代走、内倉に代わっています。

さあランナーは三塁と一塁。同点のランナーがファーストで、バッターは新屋。

 

詰まりました、内野フライ、左近充捌いてツーアウト。

6番新屋勝利 セカンドフライ(二死一三塁)

その左近充がピッチャーマウンド、詰め寄りました。

さあツーアウトです、しかしまだ三塁一塁。

ここでもう一回キャッチャーがタイムを取ります。

この辺がいいところですよね、タイムを取って間合いを取る。

 

松田「はい、しかしこの小島君ですね、バッターの新屋君をセカンドフライに取ったというところが良かったですね、これで非常に気持ちよくなったと思うんですよ」

さあバッターは吉永。今日、吉永ですが、4打数1安打。タイムリーヒット1本。ランナー三塁と一塁。

ファーストランナースタート切りました。

打ちました、三遊間、ショート捕って、ファーストへ大遠投送ってセーフ。

 

三塁ランナーホームイン。一点返して得点は10-11、一点差

7番吉永龍郎 ショート内野安打 10-11(二死一二塁)

(吉永の打球は三遊間へ、ショート山下が好捕し体制を崩しながらも一塁へ矢のような送球。)

(ショート山下から送球するも判定はセーフ。三塁ランナー生還し10-11。)

得点は11-10、一点差

松田「良く頑張りますね、実業も。今のはショートの山下君、これがジャックルしたんですよね」

 

さあ今のプレーですが、三遊間のゴロ、やや躓いた形になったわけですよね、それで遅れた形になった訳ですよね。

さあ一点差に詰め寄って久保監督。

そしてバッターはキャプテン岩切。

昨日もこのバッターが決勝点でした。

セカンドの横抜けました、そしてセカンドランナーサードを回った、ボールはサードに送られて逸れた、セカンドランナーホームイン、そして、ファーストランナーもサードを回って今サードからバックホームするタッチをするが、外しているホームイン。

二点入れました、得点は12-11。勝ち越し。

8番岩切信哉 センター前タイムリーヒット・送球エラー 12-11(二死三塁)

(二塁ランナーの内倉が生還し11-11)

(センター川田の送球が逸れ、フェンスで跳ね返った球をサード油田が本塁へ送球)

(キャッチャー田村がランナー吉永へタッチするもミットを弾かれボールがこぼれセーフ。12-11。)

(生還した二者が歓喜のガッツポーズ)

(バッターランナーの岩切は三塁へ)

鹿児島実業が土壇場に来て勝ち越しています。

初球をさすが、岩切。昨日の決勝点もこの人、そして今日もこの人が決勝点なるか。

キャプテン岩切がランナー二人を返しました。

得点は12-11、今のシーンです、センター前ヒット、それでセカンドランナーがホームイン。そして、所謂送球が逸れまして、最後はサードが捕って、バックホームしますが、これがホームイン。

 

松田「そうですね、ファーストランナーの吉永君が三塁まで進んだんですよ、その間にセンターの川田君がサードに送球したんですが、それが暴投になりましたね」

 

尚もランナーは三塁。さあ今度は追加点のチャンスとなります。

鹿児島実業高校、バッターは南。

ランナーは三塁。9回の表、土壇場に来まして、鹿児島実業が勝ち越しています。

この辺が鹿児島実業の怖いところですよね。

 

松田「そうですね、最終回だったんですがね」

 

一二塁間どうだ、捕れません、サードランナーホームイン、13-11。二点差。

9番南泰一 セカンドタイムリーエラー 13-11(二死一塁)

(セカンドへの痛烈な打球がイレギュラーし左近充が捕球できず)

相手エラーを誘いました。今のシーンです。アウトコース一二塁間打球が速かったです。

さあ一番に返って吉村。詰まっていますレフトフライ。泊が追っていきます、前進。落下点アウト、スリーアウト。

1番吉村光広 レフトフライ(チェンジ)

しかしこの回、9回の表鹿児島実業が5点を入れて、13-11、鹿児島実業が勝ち越しています。

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9回裏(鹿児島玉龍)

さあ13-11、今度はこちらが2点を追いかけます鹿児島玉龍高校、まさに今日はシーソーゲーム。

 

松田「どちらも決勝戦らしく一生懸命やって頑張っていますね」

さあ9回の裏、鹿児島玉龍高校の攻撃、玉龍高校は背番号12を付けています内門からです。

代打、内門。

さあ9回の裏、鹿児島玉龍高校の攻撃は、今度は追う形になっています。

先頭バッターは内門。

初球バントの構えストライク。

ストライク。

尚、今守ります鹿児島実業ですが、レフトに安留、そしてサードに萩元が入っています

 

セカンドの左、岩切捕って、アウト。

7番代打 内門直人 セカンドゴロ(一死)

キャプテン岩切が捕って捌いています。

先頭バッターの内門がセカンドゴロ。

 

代打攻勢です、有村です。

この有村ですが、大口高校戦で、代打で出まして一安打、鹿児島情報戦でも出ましたが、その時はヒットはありません。

タイミングをずらしますカーブ。

なかなか打てませんね。

 

松田「そうですね、フワッと上がってまた落ちるんですよね。バッターとすれば非常にタイミングの取りにくいボールなんですよね」

 

これは外れています。さあ今度は2点を追う形になりました、鹿児島玉龍高校。

先頭バッターセカンドゴロに倒れてワンナウト。

空振り。これも相手のタイミングを外します。アウトコースの変化球カーブ。

この南という投手、リリーフで出ました、良く頑張っていますよね。

 

松田「良く頑張っていますよね、まあ非常にこの南君、バッターに対してタイミングを狂わすんですよね、そういう投げ方をしていますよね」。

引っ張っていきました、これもカーブ。

まあ玉龍打線としますと、このカーブ、所謂タイミングを外されているんですけど、どのように狙っていけば良いんでしょう。

 

松田「叩きつけるようなバッティングが良いんですけど、とにかく体にうんと引き付けてボールを叩くという形でしょうね」

 

デッドボール

8番代打 有村勝己 死球(一死一塁)

代走:篠原正徳

ワンナウトランナー一塁です。

南、これ3つめのデッドボールです。

ファーストランナー代走に代わります。篠原が一塁。

バッターはラストバッターの山下。

バント、フワッといった。セカンド方向、岩切捕って、ファーストへヘッドスライディングセーフ。

9番山下浩平 セカンドバントヒット(一死一二塁)

セーフティバントが活きまして、セーフになってワンナウトランナー一塁二塁。

さあまた判らなくなってきましたよ。


松田「そうですね、これ新保君まで回ればですね、なんとかなるようですね」

 

まあしかし、その前に泊君もいますしね。

バッターは次は俊足の泊。

先ほどのラストバッター山下も俊足ですが、この人も俊足。

今日は四打数一安打。

まず初球はストレートから。

 

松田「まあこうなれば玉龍打線は、ボールを打たないように注意してボックス入った方が良いですね」

ここも見てきました。ややこの南というピッチャーですが、ランナーが出るとやや不安になるという所はありませんか。

 

松田「そうですね、サイドスローということでですね、非常にコントロールを主体として投げているんですが、少し乱していますよね」

 

タイミングを外したカーブが決まっています。

ワンナウトランナー二塁一塁。

同点のランナーが一塁です。

ボール、ワンスリー。

鹿児島玉龍高校としますと、この後当たっている、左近充、新保と繋げたいところです。

内野手は中間守備体制。

 

変化球打ち上げました、詰まりました、左中間のフライ、レフト安留が取りました。ツーアウト。

1番泊義郎 レフトフライ(二死一二塁)

やっぱりタイミング外されましたよね。

9回の裏、鹿児島玉龍高校はツーアウトランナー二塁一塁です。

マウンドは二人目のピッチャーの南。

バッターは左近充。

今日は4打数1安打。

その一安打はタイムリーツーベースヒットの左近充。

ランナーは二塁と一塁です。

タイミングを外すカーブが外れています。

そしてバッター次は新保。

カーブが決まった。

さあ、ツーアウトランナー二塁一塁。

カーブ、左中間伸びているが、センターの吉村回り込んで、ボールを捕ったアウトスリーアウト。

13-11で鹿児島実業高校が2年連続13回目の優勝、夏の甲子園出場です。

抱き合います。

2番左近充勝央 センターフライ(13-11試合終了)

前半、得点しまして、最後土壇場で追いついた鹿児島実業が2年連続13回目の優勝です。

 

いやあそれにしてもですね、見ごたえのある試合でしたよね、本当に。

 

松田「白熱した熱戦でしたよね」

 

両校とも打ちも打ったり、捕るも捕ったり、今日のヒットは鹿児島実業が15本、鹿児島玉龍高校が11本と、良く打ちましたよね。

 

松田「良く打ちましたよね、それに玉龍が5回に5点取ったところ、もうあれは相当な打力ですね頑張りました」

 見事二年連続13回目の優勝を果たしました鹿児島実業高校の校歌がこれから流れます。

 

優勝しました鹿児島実業高校、声援を送ります、その前に横一列に並びました。

打撃戦を制したのは、鹿児島実業高校。見事な優勝でした。

鹿児島実業:杉内、南ー吉永

鹿児島玉龍:船川、小島ー田村

【本塁打】田村(玉)

【三塁打】稲留(玉)

【二塁打】吉村(実)泊、左近充、木村(玉)

▽失策 実4 玉7

試合を振り返って(久保克之鹿実名誉監督談)

「鹿実野球と久保克之」(久保克之・政純一郎著より)

6点差をつけながら逆転され、逆に3点差をつけながら再逆転という、まさしく「七転び八起き」でつかんだ勝利でした。


八回裏で3点差をつけられ、あとがなくなった9回表の攻撃。あの51年夏の時と同じようなことをミーティングで話しました。

「1点でいいから取って、玉龍を甲子園に送り出そう」


敗色濃厚だった中で、「同じ負けでも1点でも取って最後の粘りを見せよう」という精神を持ち、捨て身の心になることでつかんだ逆転勝利でした。


激闘のその後

鹿児島玉龍に大逆転で優勝した鹿児島実業は甲子園へ出場。初戦で浜松工業に敗れる。

しかし翌年、3年生になったエース杉内は夏の鹿児島県大会決勝で木佐貫洋(亜細亜大-巨人-オリックス-日ハム)等を擁する川内高校を破り、再び甲子園へ出場。甲子園初戦の八戸工大一高戦ではノーヒットノーランを達成している。


<出場選手のその後>

【鹿児島実業】

  • 杉内俊哉(三菱重工長崎からドラフト2位で福岡ダイエーホークスドラフトへ。その後FAで読売ジャイアンツへ)
  • 岩切信哉(熊本工業大※現 崇城大へ進み、2015年現在は鹿児島実業高校野球部コーチ)
  • 新屋勝利(JR九州へ)
  • 本村敏幸(東邦ガスへ進み選手として活躍、2015年現在は東邦ガスコーチ)

【鹿児島玉龍】

  • 新保大輔(三菱ふそう川崎へ進み都市対抗等で活躍、その後三菱重工名古屋へ移籍し2011年末で引退。)
  • 川田勝(九州国際大へ進み九州六大学リーグベストナインを獲得するなど活躍)
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